はじめに
辞書を読もうと思う。
辞書を読むのはまっとうな趣味ではない。マイナーで、暗く、こつこつ一人でやるものだ。だけど、最近は少しずつ陽の目を浴びてきている。こんな本が出たのだ。
Reading the OED: One Man, One Year, 21,730 Pages
- 作者: Ammon Shea
- 出版社/メーカー: TarcherPerigee
- 発売日: 2009/05/05
- メディア: ペーパーバック
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神によって偏屈を多めに植え付けられたこの青年は、OEDを読むというまっとうな人間には思いつかない趣味に没頭し、1年の貴重な時間と良い視力を犠牲にした。どうにかしている。偉業である。
僕は、この数年間ずっとOEDを読もう、読もうと思ってきた。しかし、なにかにつけて後回しにしてきた。その理由は、まず、読んでしまったら最高の楽しみを失ってしまうのではないかと考えてしまったこと、そして、僕のようなベテランの辞書愛読家でも、やはりOED、その徹頭徹尾、圧倒的な存在感に怖じ気づいてしまっていたことにある。
(中略)
しかし、そもそもこういったことは、辞書を読まずにいる正当な理由とはなりえない。だから、僕はOEDに挑戦するという課題を自らに課すことにした。
「だから」の前後のつながりがおかしいのだが、厳密な論理性など情熱の前では紙風船のように非力である。
敬愛してやまない語学の達人、関口存男も「原書を引きながら辞書を読め」(ドイツ語大講座第6巻, S.200)と言っている。
だから、僕も辞書を読もうと思う。この箇所の前後のつながりもおかしいのだが、厳密な論理性など情熱の前ではやはり非力である。